長期優良住宅法
日本の住宅は短命とよく言われています。で、それではいけないと思ったのか、
はたまた、地球温暖化を心配したのか、
構造的に頑丈で長持ちして、断熱性が高く省エネな「長期優良住宅」を普及しようと、
長期優良住宅法(建築基準法と違い任意の法律です)なるものが2009年6月に制定されました。
長期優良住宅には、8つの基準があります。
建築基準法にも、「構造に関する規定」や「生活環境に関する規定」などは設けられていますが、
これは、誰でも守らなければならない、いわば、住宅の最低基準のようなものです。
長期優良住宅法は任意の法律です。
ですので、建築主様からの要望がない限り、個人の工務店様からは、
提案してもらえないパターンも多いみたいです。基準は下記の8つです。
省エネルギー対策
省エネルギー対策等級4(最高等級)の基準をみたす。
いわゆる次世代省エネ基準に適合させる。
耐震性能
耐震等級2以上を満たす。
建築基準法に定められている耐震性の1.25倍または1.5倍の強度ということ。
居住環境
長期間での環境維持、向上を目的として、行政の定める地区計画・景観計画・条例などへの適合。
維持管理対策
維持管理対策等級3(最高等級)の基準を満たす。
戸建て住宅の場合は、専用配管部分に規定がある。
劣化対策
劣化対策等級3を満たす。
木造住宅の場合は小屋裏、床下点検口の設置、床下寸法330以上等など
維持保線計画
建物の耐久性を長期間維持、確保するために必要な維持保全計画を策定する。
面積
戸建て住宅は延べ面積75�u以上必要。
資金計画
維持保全をおこなうための資金が適切であること。
長期優良住宅のコスト
長期優良住宅は従来の一般的な住宅よりも高い性能レベルを求めていますので、従来よりもコストアップになる場合があります。
一般論としまして、100万円から300万円程度のコスト増になると言われています。
高断熱化と耐震性能の強化のため費用がほとんどを占めます。
建築コスト
長期優良住宅と今までの一般的な住宅の建築コストの差額ですが、
工法ごとに国が1�uあたりの単価の目安を定めています。
長期優良住宅の標準的な性能強化費用相当額(1�uあたり)
| 構造の区分 |
標準的な費用の額 |
| 木造・鉄骨造 |
33,000円 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 |
36,300円 |
| 上記以外の構造 |
33,000円 |
建築コストアップについて
30坪の住宅と仮定すると、約100�uですので、
33,000円×100�u=3,300,000円・・・三百三十万円!
ハッキリ言って、長期優良住宅にしたからと言って、ここまで上がらないです。
個人的な意見としては、
大手メーカーは、長期優良住宅の仕様が標準化されて、一般の工務店はまだまだ、標準化されてないような話ですが、実感としては、すでに今現在も一般の工務店さんも無意識に長期優良住宅の仕様に近い住宅を建てています。IHクッキングヒーターやエコ給湯などのオール電化が一般の工務店の標準仕様になったように、
長期優良住宅に関係する、耐久性や、断熱性も時代がすでにそういう時代なのです。
例えば、高断熱化に必須のペアガラスサッシ(当方福岡在住)は、今ではほとんどの住宅に採用されています。
基礎に関しても、一昔に比べたらかなり頑丈な仕様に基づいています。
また、耐震性能に深く関係する、床剛性などは、根太レス工法による、構造用合板ア)28�oを貼ってる所が多くなってます。
長期優良住宅の基準に適合するには、あと、ほんのちょい頑張れば適合しそうな住宅がほとんどです。
基礎の開口直下に補強筋を入れるとか、人通口部分を補強するとか、天井断熱材のグラスウールア)100�oを
1重から、2重にするとかでクリアしそうな住宅がたくさんあります。
耐震性能に関しては耐震等級3は耐震等級1(建築基準法)の1.5倍ですが、材料や手間が1.5倍かかるわけではありません。
具体的な試算を申し上げませんが、後述するメリットを考えると是非採用したい長期優良住宅です。
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申請のコスト
長期優良住宅の認定を受ける場合、申請手数料として5万円前後かかります。
住宅会社が申請書類の作成などを外注する場合には、
書類作成費用として10〜15万円前後上乗せが必要な場合もあります。
と、ここまでは一般論です。
カク企画の方で、設計・施工させていただく場合は、役所に支払う申請手数料は必要ですが、
書類作成費用は、許容応力度による構造計算を原則としておりますので、特別必要ないと思っております。
長期優良住宅のメリット
このように長期優良住宅にするためにはコストがかかります。
このため国は、現在、長期優良住宅の認定を受けた住宅に対する税制上の優遇措置や補助金を設けています。
で、この長期優良住宅を採用するメリットとしては、
耐久性や省エネ性だけでなく、「所得税」「登録免許税」「不動産取得税」「固定資産税」等の税の優遇措置も注目されています。
不動産取得税などの特例措置住宅を所有する際にかかる登録免許税、
不動産取得税などの特例措置住宅を所有する際にかかる登録免許税、
不動産取得税、固定資産税の3つの税について、
長期優良住宅は一般住宅よりも負担が軽減されます。
表1 不動産取得税の特例措置(戸建てのみ抜粋)
| |
一般住宅 |
長期優良住宅 |
登
録
免
許
税 |
�@保存登記 |
固定資産評価額×0.15% |
固定資産税評価額×0.1% |
| �A移転登記 |
固定資産評価額×0.3% |
固定資産評価額×0.1% |
| �B抵当権設定登記 |
借入金額×0.1% |
| 不動産取得税 |
1200万円控除 |
1300万円控除 |
| 固定資産税 |
3年間 1/2軽減 |
5年間 1/2軽減 |
住宅ローン減税
認定を受けた「長期優良住宅」は、
住宅ローン減税の控除率が通常住宅の1%から1.2%に引き上げられ(2011年分までが対象)、
10年間の最大控除額は一般住宅が500万円なのに対し、600万円まで控除可能になります。
所得税から控除しきれなかった分は、住民税から控除できます。
2013年まで最大控除額は少しずつ減っていき、最大控除600万円が受けられるのは2011年までです
表2 長期優良住宅の住宅ローン控除の最大控除額等
| 居住年 |
控除期間 |
住宅借入金等の
年末残高の限度額 |
控除率 |
最大控除額 |
| 2010年 |
10年間 |
5,000万円 |
1.2% |
600万円 |
| 2011年 |
| 2012年 |
4,000万円 |
1.0% |
400万円 |
| 2013年 |
3,000万円 |
300万円 |
投資型減税措置
- 長期優良住宅を対象に、住宅ローンを使わず自己資金のみで建てる場合でも使える特例措置も設けられています。
ただローン減税との併用はできません。
一般住宅を長期優良住宅にするためにかかった費用(表1の目安×床面積) の10%が所得税から控除されます。
控除額の上限は100万円で、控除しきれなかった場合は、次年度に繰り越すこともできます。
2011年12月31日までの時限措置です。
フラット35Sの適用
長期優良住宅には、住宅金融支援機構と民間金融機関による長期固定金利ローン「フラット35」の高性能住宅バージョン「フラット35S」を使うことができます。
通常の「フラット35」と比べると、3,000万円を借りた場合で、総返済額に数百万円の差が出ます。
自治体による金利補助
自治体が独自に長期優良住宅に対して金利補助などを実施している場合もあります。
埼玉県では、新築の戸建ての新築住宅を対象に、県が定めた環境配慮基準を満たす場合、
融資残高の1.0%相当分(上限20万円/年)を3年間支給する制度を実施しています。
環境ヘの関心が高まる中、こうした制度を実施する自治体は増える傾向にあります。
自治体に制度の有無を確認してみましょう。
地震保険
長期優良住宅の認定基準のひとつとなつている「耐震等級2」の住宅は、
一般住宅と比べて地震保険の保険料が20%割引されます。
長寿命化のメリット
戦後に建てられた日本の住宅は30年前後で建て替えられているのが実情です。
これを仮に60年で建て替えるサイクルに伸ばしたら、
大規模改修の費用を考慮しても建設コストを削減できます。
また、建て替えごとに廃棄物が出れば、その処理にコストがかかりますし、
行政などが負担する社会的なコストも考える必要があります。
長期優良住宅はこうした次世代のコスト、社会的コストまで合めて考えると、お得度は相当大きくなります。
ランニングコストの削減
長期優良住宅の認定では高い省エネ性能を求められることから、
冷暖一房費にかかるランニングコストも一般住宅に比べると抑えることができます。
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