相隣関係
建築する土地の隣近所との関係は、民法に相隣関係の規定(第209条から第238条)が設けられていますが、
いざ、民法を読むと言葉が難儀すぎます。
例えば、隣地から50p以上外壁を離す、民法第234条はどう書いてあるかというと、、、
建物ヲ築造スルニハ疆界線ヨリ五十センチメートル以上の距離ヲ存スルコト要ス規定ニ違ヒテ建築ヲ為サントスル者アルトキハ隣地ノ所有者ハ其建築ヲ廃止シ又ハ之ヲ変更セスムルコトヲ得但建築着手ノ時ヨリ一年ヲ経過シ又ハ其建築ノ竣成シタル後ハ損害賠償ノ請求ノミヲ為スコトヲ得
古い言葉足し、カタカタ使ってるわ、句読点無いし、非常に難儀です。
ということで、現在の言葉で読みやすくしてます。
相隣関係の法律〜民法編
(1)隣地立入権(第209条)
土地の所有者は境界またはその近傍において建物を築造し、またはこれを修繕するために必要な範囲内において、隣地の使用を請求することができます。
ただし、隣人の承諾がなければ住家に立ち入ることはできません。
前記の場合において、隣人が損害を受けたときは、その補償金を請求することができます。
(2)袋地所有者の囲にょう地通行権(第210条〜第212条)
ある土地が他の土地に囲まれていて公道に通じていないときは、その土地の所有者は公道に出入りするため回りの土地(囲にょう地)を通行することができます。(第210条)
通行の場所及び通行の方法は、通行権を有する者のために必要な限度でかつ囲にょう地にとって損害が最も少ないものを選ぶ必要があります。(第211条)
通行権を有する者は、通行地の損害に対して補償金を払わなければなりません。
この場合、通路開設のために生じた損害に対するものは一時に払う必要がありますが、その他のものは1年毎に払うことができます。(第212条)
(3)隣地からの自然流水の受認義務(第214条)
土地の所有者は、隣地から水の自然に流れてくる(雨水等の自然流水)のはやむを得ないものとしてこれを妨げてはいけないことになっています。
(しかし、土地の所有者はなるべく自分の敷地内で雨水等の処理をし、低地の人に迷惑をかけないよう心がけましょう。)
(4)雨水注しゃ工作物の設置禁止(第218条)
土地の所有者は、直接雨水を隣地に注ぎ込むような屋根その他の工作物を設置することはできません。
(雨樋などを取りつけるようにしましょう。)
(5)排水のための低地通水権(第220条)
高地の所有者は、浸水地を乾かすため、または家庭用、若しくは農工業用の余水を排水するため公道、公有水路、河川または下水道に至るまで低地に水を通過させることができます。
ただし低地にとって損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければなりません。
(関連:下水道法第10条、第11条)
(6)通水用工作物の使用権(第221条)
土地の所有者は、その土地の水を通過させるため、高地または低地の所有者が設置した工作物を使用することができます。
前記の場合において他人の工作物を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて工作物の設置費や保存の費用(維持費・補修費等)を負担しなければなりません。
(7)界標設置権と費用負担(第223条・第224条)
土地の所有者は隣地の所有者と共同の費用をもって境界を表示すべき物(境界標)を設置することができます。(第223条)
境界の設置及び保存の費用は相隣者が等分して負担します。ただし、測量の費用はその土地の面積に応じて負担することになります。(第224条)
(8)囲障(塀、垣根等)設置権と費用負担(第225条〜第228条)
所有者が異なる2棟の建物の間に空地があるときは、各所有者と共同の費用をもってその境界に囲障を設置することができます。(第225条)
当事者の協議が調わないときは、前項の囲障は高さ2メートルの板塀が竹垣にしなければなりま
せん。(第225条)
囲障の設置費及び保存の費用は相隣者が等分して負担します。(第226条)
相隣者の一人は前記の材料より良好なものを使用し、または高さを2メートルより高くすることができます。
ただし、高さ2メートルの板塀か竹垣よりも増えた費用は自分が負担しなければなりません。(第227条)
第225条・第226条・第227条の規定に異なる憤習があるときにはその慣習に従わなければなりません。(第228条)
建物を築造するときは境界線から50p以上離さなければなりません。(この場合の50pの距離とは、通常、外壁またはこれに変わる柱、基礎の外面から境界線までの距離と考えられています。)
なお、境界線から外壁の後退距離については、用途地域等によって、建築基準法に別の定めがあります。
前記に違反して建築しようとする者があるときは、隣地の所有者はその建築工事を中止し、
または50p以上離すように変更するよう請求することができます。
ただし、建築工事に着手したときから1年を経過したとき、またはその建築が完成したあとは損害賠償の請求のみをすることができます。
(10)目かくしの設置(第235条)
境界線から1m未満の距離において、他人の宅地を観望することができる窓または縁側を設ける場合は、
隣が見えないよう目かくしをつけなければなりません。
前記の距離は、窓または縁側の最も隣地境界線に近い点から境界線に直角に測定します。
(11)境界線付近の建築に関する別段の慣習(第236条)
第234条・第235条の規定に異なる慣習があるときはその慣習に従うことになります。
(12)せん掘工事に際しての注意義務(第238条)
境界線の近傍において、せん掘工事をするときは、土砂が崩れたり、または水や汚液等がしみ出るのを防ぐために必要な注意を払わなければなりません。
相隣関係の法律〜施工令
落下物に対する防護(第136条の4)
建築工事等を行う場合において、建築のための工事をする部分が工事現場の境界線からの水平距離が5m以内でかつ地盤面からの高さが7m以上にあるとき、
その他、はつり、除却、外壁の修繕等に伴う落下物によって工事現場の周辺に危害を生ずるおそれがあるときは、建設大臣の定める基準にしたがって工事現場の周囲その他危害防止に必要な部分を鉄網(かな網)または帆布(シート)でおおう等、落下物による危害を防止するための措置を講じなければなりません。
相隣関係の法律〜刑法編
境界線の損壊等(第262条の2)
境界標を損壊、移動もしくは除去し、またはその他の方法によって土地の境界を認識することができないようにした者は5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
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