敷地と建物の高さの関係
高さの制限は周辺への圧迫感や日照、通風、採光を確保し地域特性に応じた環境を維持するために用途地域ごとに異なる内容が定められています。
隣地斜線制限〜隣地境界からの制限
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第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域では高さ20mを超える部分、
その他の用途地域内では(第一種低層住居專用地域及び第二種低層住居専用地域を除く)高さ31mを超える部分は、隣地境界からの高さの制限を受けます。
隣地斜線に関しては住居系の地域でも高さ20mを超える部分に制限がかかります。 |
木造住宅では20mを超えることはありえませんので、隣地斜線に関しては住宅をお考えの場合は無視してもらって結構です。
前面道路と建築物の高さ制限
用途地域 |
基準の高さ |
斜線の傾き |
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域 |
20m |
1.25/1 |
その他の地域 |
31m |
2.5/1 |
建物を北側の隣地境界までギリギリに寄せて南側の庭スペースを広くとりたい。それが人情というものです。
ところが、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域には、
真北方向から北側斜線という制限がかかり、隣地境界線から5mの高さを起点に、
1:1.25の勾配の斜線がかかりますので、なかなか思うように南側を広くとるのが困難な場合があります。
道路斜線や、隣地斜線は最短距離で斜線がかかります。
道路斜線でいえば道路にたいして直角、隣地斜線は境界線に直角に斜線がかかるのですが、
北側斜線は真北方向に斜線がかかりますので、上図イメージのように敷地にたいして真北方向により、適用距離が大きく左右されます。
北側斜線制限のチェック
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北側斜線を説明するのは難しく、また、緩和を含めて項目は多岐にわたりますが、
その概念だけでも知るために、実際に上図の北側斜線をチェックしてみましょう。
左図を例にしますと、
チェックするのは最も条件が厳しいであろう、敷地裏側の棟部分と左敷地の軒先部分です。
計算をしやすくするために
それぞれ建物にたいして垂直方向に訂正します。
立面図では隣地境界線よりはみでてしまってますが、真北方向の角度に沿って複雑な計算するのと結果は同じです。 |
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条件
適用距離a=1.1m
軒先端の高さ=6.15m
1.1m(適用距離a)×1.25(斜線勾配)+5m=6.375m
北側斜線許容高さ=6.375m
6.375m(北側斜線適用高さ)>6.15m(軒先端の高さ)→OK |
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条件
適用距離b=2.3m
棟先端の高さ=7.83m
2.3m(適用距離b)×1.25(斜線勾配)+5m=7.875m
北側斜線許容高さ=7.785m
7.875m(北側斜線適用高さ)>7.83m(棟先端の高さ)→OK |
第一種低層住居専用地域内の最高の高さ制限
第一種低層住居専用地域内は、北側斜線制限のほかに高さ10メートルを超える建物は建築できない高さの制限があります。
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斜線制限では、
敷地に対して小さな建物でも、ほんの少しでも斜線に当たれば不適合 |
道路斜線や北側斜線とは概念が違う天空率
道路斜線や北側斜線は、ほんの小さな建物でも、少しでも斜線にかかれば不適合となり、建物は建てられません。
大きな間口の敷地に、小さな建物で道路の採光に影響が及ばない場合などは不条理な判断基準です。
天空率とは、斜線制限ではなく、より現実的な、建物と空の比率で判断します。仮に、上記による、道路斜線や北側斜線制限が不適合でも、天空率が適合であれば、その制限は除外されます。
詳しくは、天空率活用とその概要を参照
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